中古物件を用途変更するために確認しておきたいポイント
市場に溢れている中古物件を『用途変更』するためには、まず物件の選択からはじめる必要があります。とくに、戸建住宅やテナント物件を放課後デイサービス・就労支援施設などの児童福祉施設等に用途変更する場合は注意が必要です。
建築基準法の改正で用途変更の申請が必要な床面積が100㎡→200㎡に拡大されたことで、これまで申請が必要だった中古物件が申請不要となったことで借りやすくなった反面、建築基準法や消防法のチェックがされないままに営業を開始したことによる、トラブルが増加傾向にあるようです。
検査済証がない中古物件の『用途変更』は事前調査が命綱
中古物件を改修して『用途変更』を行う場合は、その建物が新築当時の法規には適合してが、その後の法改正により現行法には適合しない『既存不適格』なのか、もとから不適合な「違反建築物」なのかをまず確認する必要があります。
既存の建物に検査済証がなく、しかも「違反建築物」の場合は、既存不適格状態にもどしてからでないと工事がはじめられません。
既存建物を用途変更するための7つのルール
■ルール1:必要書類がそろっている
既存の建物を用途変更する場合には、確認申請手続きが必要になります。この場合には『既存不適格調書』を作成するために以下の資料等が必要になります。
・確認申請書及び確認済証
・検査済証
・設計図書
とくに検査済証がない場合にはかなり面倒な手続き(12条5項の報告)を求められる場合があるため注意が必要です。
■ルール2:違反建築物でないこと
中古物件の場合、築年数によっては許可を受けていない増築工事や、改築がされている場合が少なくありません。たとえば、新築当時は平屋だった建物が二階を増築していたケースもあります。このような建築物に対しては、新たな用途変更や増築の確認申請はむずかしくなるので注意が必要です。
■ルール3:用途地域に適合している
あなたが開業したい建物の用途が、その地域で営業可能かどうか?を確認する必要があります。たとえば、その建物のある所在地が都市計画区域内の一種低層住居専用地域の場合、原則として床面積50m2をこえた店舗を営業することができない場合があります。
・長崎市の用途地域(長崎市建築課)
■ルール4:類似の用途変更に該当しない
これは基本的なことになるのですが、以外と見落としやすいポイントです。たとえば既存の用途が『寄宿舎』の建物を『簡易宿所』に改修する場合は類似の用途になるため、用途変更の申請は原則不要です。が、これを就労支援施設等に改修して開設する場合は、あらたな用途変更の手続きが必要になります。
ただし、類似の用途変更の場合でも、その建物が竣工時に完了検査を受けていない場合は検査済証が交付されません。この場合の行政側の判断としては確認申請を受けていない建物として見るようですから、既存の建物を調査した上で手続きをすすめる必要があります
■ルール5:営業する床面積が200m2を超えている
用途変更の確認申請が必要な場合は、その占有する床面積が200m2を超える場合です。たとえば、営業床面積が190m2の場合は用途変更の申請は不要になります。ただし、これには注意が必要です。床面積が200㎡未満でも建築基準法や消防法を免除されるものではないということです。
さらには、開業したい業種の営業許可のために必要な、その他の法令にも適合しているかどうかを考慮する必要があります。
→詳しくは児童福祉施設を開設する場合(長崎市)をご覧ください。
■ルール6:営業許可に関連する法令に適合している
あなたの開業したい業種によって、必要な関係法令にはどういったものがあるか?これが重要なポイントになります。
たとえば、長崎市で『簡易宿所』を開設する場合は、生活衛生課に旅館業の許可を申請することになります。その場合にどういう法令に適合させる必要があるかを、事前に調べておく必要があります。
また、飲食店など食品を扱う業種には、HACCPに対応させるための措置が義務化されているため注意が必要です。
・旅館業の許可(長崎市生活衛生課)
■ルール7:建築基準法を遵守する
これは当然なことですが、用途変更の申請をするしないに関わらず、その建物に不適合(建築基準法・消防法)な部分があれば是正しなければなりません。
実際、これを怠ったまま営業許可を受け開業し、5年後の営業許可更新の際に指摘を受ける場合が少なくありません。これを防ぐためには、開業前にその建物を所管する、建築指導課、消防署に事前相談することをおすすめします。
以上、簡単にポイントをまとめてみました。ただ、実際の手続きには複雑な場合が多々あるため、さらに十分な調査が必要になってきます。
■床面積200㎡未満の用途変更の例